印刷業界に勤める

大きな変動期を迎えている

今大きな変動期を迎えているのが印刷業界です。
日本における印刷業界の動向をみてみると、凸版印刷と大日本印刷の二大印刷企業が突出していることがわかります。
ここまで少数の企業のみで独占的なシェアをとっている業界は他では見かけることができません。
その原因となっているのは、印刷業界においては凸版印刷や大日本印刷のように巨大な企業にまで事業を拡大しているところはむしろ少数派で、ほとんどが町工場的な中小企業によって運営されているためです。
日本における印刷物は諸外国に比べてかなり質が高いことで知られていますが、実際にはその技術の大半は下町や地方の中小企業が支えていたものだと言ってもよいくらいです。

仕上がりの違う印刷物を作るためには全く違う印刷機が必要

印刷物にはオフセット印刷やグラビア印刷などたくさんの種類がありますが、それら仕上がりの違う印刷物を作るためには全く違う印刷機が必要になったりします。
そのため、これまでは印刷中小企業は仕事をお互いに融通しあったりしながら協力体制を作ってどんな印刷物にも対応できるようにしてきたという歴史がありました。

しかしそんな仕事の持ち合いをしてきた印刷業界も、パソコンや携帯電話、そしてタブレット端末が登場したことによって大きな転換期を迎えています。
インターネットが出始めたときからすでに印刷業界は今後苦戦をすることになるという予想はされてきましたが、実際に大きな波となったのはKindleやiPadなどの電子書籍端末モバイルが登場してからです。
すでにアメリカなどでは紙の書籍よりも電子書籍を購入することを希望するユーザーが増えてきています。
日本においては印刷業界の特殊な事情や、そもそも印刷物の出来がたいへん優れていることから電子書籍の出足はかなり遅くなっていますが、それでも今後さらに印刷物の需要は減少していくことが考えられます。

厳しい業界の動向についてしっかりと認識する

これから印刷業界に就職をしたいと考えている人は、まずそうした厳しい業界の動向についてしっかりと認識をしておいた方がよいでしょう。
すでに大手凸版印刷や大日本印刷は紙ベースの書籍ではなく電子書籍を普及するための事業を拡大してきており、楽天など他の電子書籍取扱業者を相手に激しいシェア争いが起きてくることが予想されます。
地方など小さな印刷会社はかなり厳しい状況におかれているので、その企業の将来性や経営者の方針などを知った上で就職を決めた方がよさそうです。
ただし根強く紙ベースでの印刷物が使われる分野もあるので、そうしたところに特化した企業なら生き残れる可能性は十分あります。