好きなことを仕事にするな?

中高生を対象にした就職セミナーなどではよく言われる言葉

好きなことを仕事にした方がよいと中高生を対象にした就職セミナーなどではよく言われます。
ですがその一方で、あえて好きな事を仕事にはしない方がよいというふうに言う人もいます。
これは全く正反対のことを言っているようにも聞こえますが、
実際にそれら両者の意見を聞いてみると
全く別の次元で仕事に対して意識を持っているがための意見であるということがわかります。

わかりやすく言えば、同じ「好きなこと」であってもその種類によっては仕事にした方がよい場合と、
しない方がよい場合とに分かれるということです。

好きなことが向いているとは限らない

もう一つ、「好きなこと」が本人にとって「向いていること」「得意なこと」とは限りません。
具体例で言うなら、例えば野球が大好きで毎日練習をしている人がいたとしても、
そうした野球大好きな人のすべてが練習の結果プロ並の腕前になれるとは限りません。
ただ、「好き」という気持ちが強烈であればあるほど、
毎日のつらい練習に耐えるためのモチベーションが高まるので、結果としてプロ並の腕になる可能性が近づきます。

反対に野球が本当に大好きで練習も毎日できるけれども、
実力的には一流のプロ選手にはなれそうもないという場合なら、
むしろプロ野球の選手を目指すよりも全く別の仕事についておいて、
休日のストレス解消の方法として野球を使ったほうがより豊かな人生を送ることができます。
残酷なようですが、スポーツや芸術といった実力だけがものをいう世界においては
何よりも本人の努力が結果に結びつくものであるかということこそが重要になります。

一般的な仕事における適性

そうした実力主義の仕事よりもちょっと判断が難しいのが、一般的な仕事における適性です。
先日大阪市で公募によって選ばれた校長が、
就任してわずか数ヶ月で「自分の活躍できる場所ではなかった」と一方的な理由で退職をした例がありましたが、
これは自分には教育が向いていると思っていたけれども実際に仕事として行うときには
思うようなことができなかったのでやめたという例といえるでしょう。

公募による校長という立場を考えるとその言い分は真に幼稚なものと言わざるを得ませんが、
自分が好きでやりたいと思った業界が実情として失望の多いものであったということもよくある話です。
そこで「好きだから続ける」と思えるか、それとも「好きは別にとっておいて、
それ以外の仕事の方がよい」と思えるかというところが、
好きを仕事にするべきかどうかということの大きな判断基準になるといえるでしょう。