これからの漁師の仕事
日本は伝統的に海産物を多く使う食文化の国です。
そのため、海産物や魚介類を捕獲する漁業の仕事は長い歴史を持つ仕事として知られてきました。
ですがここ数年で水揚げされる海産物の量は減少傾向にあり、一般の食卓に毎日のように海産物や魚介類が出る機会もめっきり減ってきてしまいました。
これは肉類が中心の西洋風の食文化が一般に浸透してきたこともありますが、それ以外にも過去に魚類の乱獲をした結果魚の数そのものが大幅に減少をしてしまったことも関係しています。
また農業や林業同様に、第一次産業に分類される仕事は若い世代には敬遠される傾向にあり、漁業の成り手が減ってやむなく廃業をしてしまうというような漁業関係者や港もでてきています。
とはいえお寿司など日本人にとっては魚介類は人気の食材であるので、これからは漁業に関連する仕事は新しいスタイルで長く続けていけるような仕組みに変革していくことが求められます。
注目の第六次産業
そんな衰退傾向にある漁業ですが、ここ近年で注目を受けるようになってきているのが「第六次産業」と言われる新しい産業形態です。
従来までの漁業というのは第一次産業に分類をされていましたが、それは業務内容が実際に海にでかけそこで魚類を捕獲したあと、市場で卸すまでとなっていたからです。
市場で販売する魚類はそのあとの第二次産業で加工をされ、さらに第三次産業で流通販売をされていくという流れになっていました。
ところが他の製造業界においては中間を抜いた直接販売によるコスト削減が進んでいったということもあり、第一次産業である漁業も同じように営業形態を変革していく必要に迫られました。
そこで誕生したのが「第六次産業」という、生産(捕獲)をする業界がそのまま加工や販売までを行っていくというスタイルです。
今ではインターネットという便利なツールがあるため、漁業関係者が直接消費者に対して販売をしていくことも簡単にできるようになっています。
ただしまだまだこの第六次産業は発展途上にあるため、今後はより世間のニーズにあったようなサービスとなって形を変えていくことが予想されています。
ピンチをどうチャンスに変えていくか
しかしいくら新しい業務としてスタートされているとしても、漁業に関連する仕事に就職をする人員が減ってしまっていてはサービスそのものを作り出すことができなくなってしまいます。
そのため全国の漁港では、新たに漁業に従事してくれる若い人材を多く募集しています。
漁業の場合、出かけるためには必ず燃料費や維持費のかかる漁船を使わなくてはいけませんし、天候によってはかなり危険な状況におかれることにもなります。
さらに仕事内容は力仕事が多かったり、猛暑や寒さに耐えなくてはいけないといった過酷な状況になってしまったりします。
そのため特に女性にとっては就職が厳しく、男性でもよほど屈強な人でないと長く続けることはできないのが現状です。
ですがそんなピンチにありつつも、これからの漁業の発展に期待をし新たに就業を希望する人もいます。
ピンチであるからこそのチャンスもあるわけですので、これからは全く新しい発想で漁業に望むことができる新鮮な風が求められています。